退職②

自分の仕事は営業でも、新規開拓ではなくルート営業兼サービスだった。自分の会社の製品の知識は当然必須で、30~40年くらい前の製品まで把握しておかなければいけない。見積もりを作ったり、工場にオーダーを掛けるために伝票を作ったり、売り上げを気にしながら営業していた。

サービス的な仕事もしなければいけないから、現場で修理したり、電話でアドバイスをしたりが日常の仕事。電話でのお客さんの話しから故障した状況をイメージして、故障個所を特定して対応策を考えてアドバイスをする。他社製品から信号をもらっていたり、いろいろ複合要因があるから、それも考慮に入れる。カッコよく言うと、論理的思考能力が必要だ。

しかも、出張所には事務員がいないから、ひとりで全部やらなきゃいけなくて、事務処理から掃除なんかまで自分でやっていた。サラリーマンだけど、業務は個人事業主みたいな感じ。

ルート営業は、日頃の信頼関係が最も大事だと思っている。日頃の対応、納期、故障時の的確なアドバイス、休日でも電話対応してくれるか、クレーム対応を誠実にしてくれるか…など、お客さんが困ったときにどう対応するかで評価が決まる。誠実に対応して信頼を得られれば、怒られたり無理な値引きを頼まれたり…、がなくなっていくし、長い目で見た良い関係を作ることができる。

だから、私は後輩にもそれを伝えたかった。人間を成長させてくれるものは、責任である。お客さんから信頼をしてもらおうと思って一生懸命対応すれば責任感が生まれて、自ずと誠意ある対応になるし、いろんな知識、経験がついてくる。そして、最後は売り上げも後からついてくるのだと。

でも、後輩は分かってないだろうな~。