成熟脳 …③

なんかおもしろい。続いて、40代について。

 

四十代は、もの忘れが進むとともに、三十代の惑いが消えて、成功事例が増えだす。比較的安定した時期である。もっと幸福感があってもいいのだが、多くの四十代には、その実感がない。もの忘れや体力の衰えを老化と解釈すると、かなりの焦りを感じることになってしまうからだ。

 

さらに、脳自体は「正解が降りる脳」になってきているものの、三十代の失敗を重ねた記憶がまだ生々しく、本人にまだ不安感が残っているので、確信が足りない。正解が降りてはきても、「これは白と思うのだが、はて」という感じが漂ってしまうのである。このため、五十代に比べて、言いきりの力が弱い。

 

若い世代は、六十代以上の人生の師を持つべきである。これほどの、人生羅針盤はない。特に、惑える三十代、もがく四十代は、成熟脳世代の友人を持つといい。まるでモーゼのように、混沌の海を割って、道を作ってくれるに違いない。


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なんか、この本を読んで思うのは、東洋哲学ってすごいなってこと。孔子の三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る…、に通じるものがある。昔の人って、こういうのも経験的に分かっていたんだろうか。

自分にとっては、30~40代くらいが一番興味のあるところだけど、人間の脳って、最終的には直感を研ぎ澄ますためのトレーニングをしているのかな?って思う。論理的思考能力は、やっぱり30~40代が一番高い気がする。じゃあ、それ以上の世代は??というと…。

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人間の28歳周期の話がとてもおもしろくて、これからも参考にしようと思うけど、(誕生~28歳)(29歳~56歳)(57歳~84歳)(85歳~112歳)と考えると、その時々でやるべきことってのが、ちゃんとあるものだ。

 

感性や知識など学び入力して、脳の回路を作る第一ブロック。迷いの中で成功と失敗を繰り返し、脳の回路から必要なものを選択する第二ブロック。成熟した「人生の達人」として深みを知り、脳の出力性能が最も高まる第三ブロック。自分の内なる声を聴き、内的世界が充実する第四ブロック。

 

こうしてみると、社会的に有能であることを脳は目指していないように感じる。これからの10年で本格的にAIが普及するのだろうけど、人間の脳が目指しているところと、AIが目指すところは対極なのだ。そう考えると、将来はとても明るい(^^)!

 

 

成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)