人は「甘え」と「反抗」の繰り返しで育つ。
成功している人、あるいは、自分のやりたいことをやっている人ってのは、困難に打ち勝つ力と言うか、自分に対する自信を持っている人、いわゆる「自己効力感」や「レジリエンス」の高い人なのだと思います。
クローズアップ現代でのレジリエンスの実験。与えられた課題に被験者がどう向き合うのかを実験しています。
課題に対して最初から無理と決めつけていたり、自分の力を過小評価する傾向があったのです。
レジリエンスには、状況に一喜一憂しない感情をコントロールする力や、自分の力を過小評価しない自尊感情が大きく関係する事が分かってきたのです。
一方、1時間以上にわたって挑戦を諦めなかった人たちからも、一定の傾向が明らかになりました。課題の失敗を繰り返す中でも、少しずつ成長していると感じている人や、いつかできるだろうという気持ちを持つ人が多くいたのです。
自分が成長前進していると感じる事ができる、自己効力感という要素。そして失敗の中でもいつかできると考える楽観性も、レジリエンスには重要な要素である事が分かってきました。
僕の好きな言葉の一つに「根拠なき自信」というものがあります。これは、歌手のスガシカオさんが言っていた言葉です。
スガさんは二十九歳まで普通の会社員をしていました。仕事も私生活も順調だったのですが、ある日突然、プロの音楽家を目指して辞表を提出します。それまで、プロとして活動した経験はもちろんないし、デビューの見通しが確実に立っていたわけでもありません。それでも、スガさんは「根拠のない自信があった。そうとしか言えない」とおっしゃっていたのが印象的でした。
やっぱり、社会で生き抜いて行くには、ある種の楽観性が必要なのだと思います。特に日本人は不安を感じやすい遺伝子を持っているのだとか。(それは、日本人の生命保険、医療保険好きなんかに現れていると思います。)
社会に出るということは困難の連続。自分のやりたいことをやるってことも、それもやっぱり乗り越えなければならない困難の連続なんだと思います。
その困難に立ち向かう力、“逆境力”とも言われる「レジリエンス」。こころが折れないための要素は、感情のコントロール、自尊感情、自己効力感、楽観性、そして人間関係なんだそうです。
人間は一人では生きていけない動物なので、つらい時は人に頼ることも大切です。子どもは、甘えと反抗を繰り返しながら成長していくんだとか…。もしかすると、大人も依存と自立を繰り返しながら成長していくのかもしれません。
そういう、こころの「安全基地」を持つことが、レジリエンスを育むうえでの一番大切なことではないでしょうか。