全体性への道

HSPの自己理解のためにと思って読んだ本です。HSP×ユング心理学みたいな感じになっていて、おもしろかったです。(ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

  

ユング派の人たちが取り上げる性向の一つに、その人の「情報の取り入れ方」がある。… われわれは誰もがこの四つの「機能」 ― 感覚、直観、思考、感情 ― の中で、特に優れたものをひとつ持っている。HSPにとっては、直観がそれである場合が多い。

 

 

四つの機能すべてに秀でている人はいない。「劣等機能」についての長い論文を書いたマリー・ルイーズ・フォン・フランツによれば、自分の弱い機能を強めることが、全体性への価値ある道のりになる、という。そうすることで、無意識に埋もれたものに触れ、もっと無意識と調和できるようになるのだろう。

 

 

遅かれ早かれ、いずれ私たちは想像の世界や趣味、遊びを通して、自分の劣等機能を鍛えなければなくなるらしい。ユングやフォン・フランツによると、そのために時間を取るのは倫理的義務だという。多くの不合理な集合的行動は、人々が他社に自分の劣等機能を投影したり、劣等機能への訴えに反応してしまうことと関係している。そしてこの劣等機能は大衆を操作しようとするメディアや指導者たちに悪用されるのである。

 

 

十年ほど前に、河合隼雄さんの本を見てユング心理学を知りました。ユング心理学タイプ論も知ってはいたのですが、10年と言う年月を経て1周回って悩んでも、結局行きつくところは同じなんだな~と思ってしまいます。でも10年前よりは経験も積んで理解が深まったような気がします(笑)。

 

このタイプ論のおもしろいところは、「全体性」への価値ある道というように、人生を豊かにするためには自分の劣等機能を鍛えることの大切さを説いているところ。

 

私は外向的な直感型だと思うので、劣等機能は「感覚」ということになります。いろいろなものごとやできごとから、様々なインスピレーションが沸いてくる直感型であれば、ものごと、できごとをありのままに受け止める、あるがままに感じる、そういった感覚型の機能を鍛えることが必要になってくるということです。たぶん、これを避け続けていると、きっといつか壁にぶち当たって、そのことを考えざるを得ないときが来るんだと思います。

 

まぁ、この考え方が当たっているのかは正直分かりません。でも、新たな視点発見!新たな課題発見!ということで、しばらくこの考え方を深めてみたいと思います。

 

 

最後に、ヒトラーが劣等機能を使ってユダヤ嫌悪を扇動した手口をメモ。

「感覚」が劣等機能である直感型の人々に語りかける時には、ユダヤ人は経済的な実権を握る巨大な存在であり、市場を操作しているのだと訴えた。直感型の人々はあまり実用的なことが得意でなく、とくにお金を作ることが下手だ。直感型の人々はビジネス感覚のなさに劣等感や恥を感じやすいので、ビジネス感覚のある人の犠牲者になっているような気持ちを起こしやすい。

 

 これは、なんとなくわかります。それぞれに劣等機能があるので、それを利用しようとする手口。上記の手口は嫌悪感を扇動するための手口ですが、本質的には現代のビジネスって(政治もそうですが)、人々の承認欲求と劣等感を巧みに利用しているところがあって、こういうやり方に汚さを感じてしまいます。

自分の劣等感を克服しようとすることが、逆に利用されてしまうこともあるということを覚えておかなくてはなりません。自分への戒め。

 

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)

 

 

ユングの「タイプ論」|モチベーション向上の法則